ケロロが珍しく静かにラボへ入って来た。
いつもならけたたましく入ってくるのに…。
クルルは無関心を装ってキーボードを叩き続ける。
ケロロが遠慮がちに声をかけた。
「クルル…あのさ…」
本当に異例な状況である。
何か失敗をやらかしたか、企んでいるのだろうか?

クルルは素っ気無く尋ねた。
「なんだぁ?なんか用か?」
ケロロは蚊の鳴くような声で言った。
「欲しい物があるであります」
結局、いつものお願いだ。
クルルは少し不機嫌になって言った。
「なんだよ、はっきり言えよ」
ケロロは、なかなか言い出せずに、モジモジとしている。
余程、大きな失敗をやらかしたのだろう。

ケロロは唾を飲み込むと、覚悟を決めてようやく言った。
「く、クルルが欲しいであります」
驚きのあまり、キーボードを押し間違えてしまった。
振り返ってケロロを見れば、顔を赤らめて、あながち嘘ではない様子である。
なんとか冷静に尋ねたつもりだが自信はなかった。
「マジかよ?」
ケロロは大真面目な顔で答えた。
「本気と書いてマジであります」
思わず笑いそうになってしまうクルル。
だが内心、動揺もしていた。

ずっとケロロが好きだと想いを秘めていて、
まさか、ケロロの方から告白されるとは予想外であった。
本心を知りたくて、クルルは、わざと試すようなことをけしかけてみる。
「だったら本気を見せてくれよ」
ケロロは、ぎこちなく肯いて答えた。
「…わかったであります」
信じられないことに、ケロロが緊張した面持ちでクルルへと近付いて来る。
これは夢ではないかとクルルは思った。
もし夢なら醒めないで欲しいと願う。
だが、夢ではない証拠にケロロは目の前に来ると、クルルの椅子によじ登って来た。
そして自分の体を支える為、クルルの腹に手を当てながら、
困ったように問いかける。
「ゲロ〜、これからどうすればいいでありますかね…」
ケロロの息遣い、温かい肌の感触。
夢にしたらかなりのリアリティである。
クルルは堪えきれずケロロの腕を掴み、頬へ手を添えると言った。
「手始めにキスすればいいんじゃねーか?隊長」
「き、キスでありますか…!?」
有無を言わさずクルルはケロロの唇に唇を押し当てる。
「愛してるぜ、隊長…」
これまで、ずっとケロロの望んでいた物を作り続けてきた。
まさか自分を選んでくれる時が訪れるとは思いも寄らなかった。

クルルは夢から醒めない夢を見ていた。

                                              Fin



ちり様の作品に共鳴させていただきました。
是非、共鳴させていただきたくて…。
作品のイメージを壊してしまったら、本当にすみません!
でも、ちり様と共鳴できて、とっても嬉しいです。
ありがとうございます!

                       共鳴元作品はこちら→ 




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